大腸ポリープはがんになる?

大腸ポリープには、将来的に大腸がんへと進行する可能性のあるものと、がん化の心配がない良性のものがあります。後者のポリープは、ただ存在しているだけであり、基本的には健康に影響を及ぼすことはありません。
出血などの症状がある場合には切除を検討することもありますが、多くの場合、無症状で経過するため、積極的な治療を行わずに経過観察とするケースが一般的です。必要のない処置を避けることもでき、患者さまのお身体にとっても負担が少なく済みます。
大腸がんになる
可能性のあるポリープ
大腸ポリープの中には、将来的に大腸がんへ進行する可能性が疑われるタイプがあります。代表的なものとして「腺腫」と「SSL(鋸歯状病変)」が知られています。
腺腫
腺腫は、大腸カメラ検査で最もよく見つかるポリープであり、腫瘍でもあります。この腺腫は、細胞が制御を失って過剰に増殖し、自らの力で徐々に大きくなっていく特徴があります。その過程で、大腸がんへと変化していくと考えられています。
腺腫自体が症状を引き起こすことはほとんどなく、無症状のまま存在していることが多いのですが、大腸カメラ検査で見つかって切除することで、大腸がんの発症リスクや、死亡率を大幅に下げられることが分かっています。
SSL(鋸歯状病変)
SSLも腺腫と同様に、自発的に増殖してサイズが大きくなり、大腸がんへと進行する可能性があると考えられています。現時点では、腺腫と比べてがん化のリスクが同程度かどうかは明らかではありませんが、発見された場合には切除を行うことで、大腸がんの予防に繋がると考えられています。
大腸ポリープが
良性か悪性かはいつ分かる?
最終的な診断は、専門の検査機関で詳しく調べるため(病理検査)、結果が出るまでに通常1〜2週間ほどお時間をいただきます。ただし、当院では最新の内視鏡システムやAI技術を活用しており、検査中にポリープの特徴を詳しく観察することで、ある程度の見極めが可能です。
大腸ポリープが
がんであった場合
もし、切除したポリープが悪性、つまり大腸がんであった場合でも、内視鏡で完全に取りきれていると診断されれば、追加の治療を行う必要はありません。その後は再発や新たなポリープの有無を確認するために、定期的に内視鏡検査などで経過を観察していくことになります。
一方で、がんが残っている可能性があると判断された場合には、追加治療として手術などが必要となることがあります。その際には、より専門的な治療が行える医療機関を紹介いたします。また、当院では、がん治療認定医の資格も持つ医師が診療を担当しておりますので、がんがみつかったあとも継続してサポートしております。
がん保険に加入している方
大腸ポリープを切除した後の病理組織診断において、「がん」と診断された場合、ご加入のがん保険において保険金の支給対象となる可能性があります。該当の保障を受けられるかどうかは、契約されている保険会社にご確認ください。対象となる場合には、保険会社所定の書類をご提出いただければ、当院にて必要事項の記入など対応いたしますので、お気軽にご相談ください。
大腸ポリープが
あるとどんな症状が出る?
大腸ポリープとは、大腸の内側を覆う粘膜に発生する、盛り上がった腫瘍を指します。通常は自覚症状がなく、痛みを感じることもほとんどありませんが、ポリープが大きくなると、出血の原因となる場合があります。
大腸ポリープができやすい人

大腸ポリープの主な原因は、加齢や食生活に加えて、遺伝的な要因が関与しているとされています。
- ソーセージやハムなどの加工肉や赤身肉の過剰摂取
- アルコールの過剰摂取
- 野菜など食物繊維を多く含む食品の摂取不足
- ご家族にやと診断された方がいる
など
大腸ポリープ切除について

大腸カメラ検査の際にポリープが発見された場合、当院ではまず詳細に観察し、切除の必要があると判断された場合には、その場で切除を行います。ポリープ切除後は一定期間、食事や日常生活にいくつかの制限が生じますが、入院の必要はなく、検査当日にご帰宅いただけます。多くの方は翌日から通常の生活に戻ることが可能です。
ただし、ポリープの数や大きさ、状態などによっては、入院による対応が望ましいケースもあります。その際には、連携している高次医療機関をご紹介し、治療を受けていただけるようサポートいたします。
大腸ポリープ切除後の過ごし方
食事
大腸ポリープの切除後は、腸に負担のかかる食事や飲酒は控えていただくことが推奨されます。身体に優しい食事を心がけることが大切です。特に、食物繊維を多く含む野菜や果物は、排便時に刺激となり出血を引き起こす可能性があるため、一定期間はお控えください。また、脂質の多い料理や刺激の強い香辛料を含む食品も腸への刺激となるため、避けたほうが望ましいとされています。加えて、飲酒も出血のリスクを高めるため、控えていただくようお願いします。
運動
大腸ポリープの切除後は、運動によって血圧や腹圧が上昇し、処置をした部分から出血しやすくなる可能性があります。ポリープの大きさや切除方法によっては、ポリープの切除後3~7日間は、ゴルフ、テニス、ジョギングなどの激しい運動は控えることをおすすめします。
出張・旅行
大腸ポリープ切除後は、稀に出血などの合併症が生じることがあります。そのため、出張や旅行などによる遠方へのご移動は、万が一、再出血が起きた際に迅速な対応が難しくなる恐れがあります。ポリープの大きさや切除方法によってリスクは異なりますが、当院では安全を最優先に考え、切除後3〜7日間は遠方へのご移動は控えていただくようお願いしております。
入浴
大腸ポリープの切除後のサウナや長時間の入浴は、血圧を上昇させたり、血行を促進させたりするため、出血のリスクを高める可能性があります。そのため、シャワーのみの入浴をおすすめします。
内服薬
抗血栓薬(血液の固まりを防ぐ薬)を服用中の方は、検査のために一時的に服用を中止していただく場合があります。服用再開については、医師の指示に従ってください。
排便時の確認(出血の有無)
大腸ポリープの切除後10日間は、排便後に便器の中を確認することが大切です。便に少量の血液が混じることは問題ありませんが、便器が血液で真っ赤になった場合は、すぐに当院へご連絡ください。出血がひどい場合は、出血部位を特定し、止血治療するために大腸カメラ検査を再度行うことがあります。
大腸ポリープ切除の費用
| 1割負担 | 3割負担 | |
| 大腸カメラ検査のみ | 約2,500円 | 約7,500円 |
|---|---|---|
| 大腸カメラ検査+組織採取 (生検) |
約3,000~7,000円 | 約10,000~18,000円 |
| 日帰り大腸ポリープ切除 | 約9,000~12,000円 | 約27,000~36,000円 |

